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彼の夢は、純然たる過去の反芻だ。
長閑で豊かな暮らしを享受する、妖狐の里の長。それが彼の夢の中の姿、即ち過去の姿である。
里長だといって特別厳格な姿勢でいるわけではない。
里の“外”との繋がりを処理する書面や里の行事に関する書面、そういった物を粗方片付けると、外へ出て子供達と遊ぶのが彼の日課だった。
彼が仕事を終え外に出ると、待ってましたとばかりに駆け寄ってくる子供達の姿も里では見慣れた景色で、それは彼が如何に慕われているかをよく示していた。
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