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うえ、と佐助が鳴いた。
絞めた鶏のような声を出す物だな、と幸村は思った。何時の間にやら紅蓮が佐助の首筋を握っている。その指はしかと気道を止めていた。
だのに佐助は抵抗もせず、だらりと両手を垂らして紅蓮に身を委ねている。何故だろうか、疑問に思った所で幸村は目を瞠った。
「さすけ」
幸村が手を離した途端、力なく佐助の体が、墜ちた。
*――――――
にこ、と幸村の端整な顔立ちが歪んだ。ああついにか、と佐助は無感情に瞼を伏せた。
どうやら人を食らい過ぎたらしい。
灼きつく紅蓮がそれを物語っている。案外幸村が悪鬼と化すのは早かった。
首を圧しながら苦し気に顔を歪める幸村に、苦しいのはこっちだ馬鹿と毒を吐いてやりたくなった。
尤もその前にぷつりと意識が消えたので、叶わなかったが。
(きっと来年は見事な桜が咲くでしょうね、馬鹿野郎が!)
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