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「………まぁ、良いでしょう。彼女の処遇に猶予を与えよう。……彼女に関しては謎が多い。同志として迎えるにも、審議が必要だしね。彼女が我々の敵ではないという確証はないからね。取り敢えず、話は彼女が目覚めてからとしよう」
「恩に着る」
「礼はまだ早いよ、晋作。彼女の反応次第では………。悪いが、その時は私は躊躇わないよ」
「……あぁ」
「取り敢えず、どこか空いてる部屋に寝かせてやりなさい。言わなくても分かってると思うけど、母屋ではなく、離れの部屋だよ」
母屋は桂や高杉達の部屋がある。
人の出入りも多く、様々な会話も飛び交っているため色々とまずい。
離れならば今は使っておらず、隔離ができる状況の為、暫く娘を置くのにも丁度良かった。
男だらけの藩邸内に女を置けば面倒事が生じる可能性もあるが、その点も離れならば、母屋と繋がる廊下に目を光らせれば良いので、色々と好都合だった。
「…ん…」
朔が目を開けると、見慣れない天井が視界に入り、朔はぼんやりとその天井を見つめた。
(ここは…何処?私、京都駅に向かおうとして…)
「…目、醒めた?」
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