-最悪な出会い-

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「……おーい」 急に真剣な顔で黙り込んだ朔に、高杉は朔の顔の前で手をひらひらと振ってみるが、反応は無い。 どうしたものかと桂達の方を見ると、桂と吉田の二人も何か思案している顔だ。 「…やはり頭を打っていることだし、少し混乱しているようだね。後遺症が出ても心配だし…数日間、ここでゆっくりすると良い。私達は少し席を外すから、ゆっくり休みなさい。また後で様子を見に来るよ」 桂はそう言うと高杉の襟元を掴み、引き摺るようにして立ち去った。 吉田もまたそれに続くように立ち上がると、朔の前を横切り廊下へ出たが、ふと何か思い出したようにそこで足を止めた。 そして朔の方へ振り向くと、布団の上の朔を一瞥した。 「…その服でうろつかれると少し面倒だから、この離れからは出ないでよね」 吉田はそう言うと部屋を後にした。 一人残された朔が、更に困惑したのは言うまでもない。 自分はそんなにおかしな服装をしているのだろうか………? 言われた意味がさっぱり分からない。 自分が着ている服は黒いワンピースだ。スカート丈だって膝丈で、その他のデザインも露出は高くなく、はしたない印象は与えない。羽織っていた桜色のショールは今は綺麗に畳まれて枕元にあるが、それだって、けして変ではない筈だ。 あの男は何をもって、うろつかれると面倒な服装だと判断したのだろうか。 正直言って、彼らの方が何倍も怪しい服装だ。
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