-最悪な出会い-

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だが……… (…広すぎる…) 予想以上の広さに朔はすぐに絶望を感じた。 誰かに見つからないよう気を遣いながら、見知らぬ邸内を進むというのは、思いの外疲れる。 自分は一体、何処を歩いているのだろう。 出入り口に近付いているのだろうか? (…庭を通った方が良かったかもしれない…) 邸内を進む選択をしたことを、後悔し始めた時だった。 「……まだ分からないことだらけだが、彼女はただの町娘ではないだろうね」 「九条なんて大層な名前の時点で、ただの町娘じゃないでしょ」 (……私の事?) 先程の男達と思われる話し声が聞こえ、朔の身体に緊張が走った。 見つからない内に一刻も早くここを離れた方が良い。朔は息を殺し、そっとその場から離れようとしたが、続いて聞こえてきた声に思わず足が止まった。 「それに…あの娘、日本は治安が悪くない、って言ってた。まぁ、その認識はさておき、それって、日本以外を知っているってことだよね?しかも、比較できるくらい詳しく」 (…何を言ってるの…?まるで日本以外を知っていてはいけないみたいな…。何…この人達。今時誰だって知ってる事でしょう?そんな昔の鎖国時代じゃないんだから…) そう思った瞬間、朔は気付いた。 そうだ。違和感の正体はこれだ。
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