-最悪な出会い-

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(壬生寺から京都駅へ向かった時、現代家屋が無かった…時代劇のセットみたいな風景だった。何故…) 時代劇のような景色。 着物や髷のある男達。 噛み合わない常識。 朔は指先から冷たくなっていく感覚を覚えた。 (…そ……そんなこと…あるわけない…) あるわけがないと、脳裏を過る仮定を打ち消そうとすればするほど、別の声が聞こえる。 では、あの時代劇のような風景は何と説明する? いくら広い屋敷内とはいえ、外から車の音などが全く聞こえないのは何故? 離れから見た空に電線が見当たらなかったのは何故? 男達と全くと言って良い程に治安に関する認識が噛み合わないのは何故? ───何故?何故?何故? 「……まったく、本当に厄介事起こすか巻き込まれるかしてくれるよね、高杉って」 「確かに。私自身も君の後始末を色々させられたからね、晋作。英国公使館を焼き討ちしたり、最近では勝手に隠居はするし、思い立ったら即行動に移すその無鉄砲さは少し慎んで貰いたい。毎回振り回されている俊輔が可哀想だ」 「うっ………悪かったって小五郎!」 ───高、杉……晋作…? 男達の会話の中に聞こえたその名前に朔の思考は止まった。 朔のあり得ない仮説を裏付けるのには充分なその名前。
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