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夢咲 蕾。
肌は白く、茶色い髪を肩の辺りで切り揃え、二重瞼でぱっちりしている目なのだが、眉を吊り上げることによっていつも細くしている……というか、目つきを悪くしている。
可愛らしい顔立ちからは想像も出来ないほどに性格は暗く、いつも教室の隅にある自分の席に座って本を読んでいるような子だ。
しかし文学少女とはまた違うようで、集中してそれを読んでいるかと聞かれたら、僕は首を全力で横に振るだろう。
彼女は本を読む振りをしているが、本当は眉を吊り上げた怖い目つきで、教室で楽しそうに会話しているクラスメイト達をひたすらに睨んでいた。
僕がこの事に気付いたのはつい先日で、自分の夢を仲の良いクラスメイトに語っていたところ変な視線を感じて彼女の方に振り返ったのがきっかけである。
あの、僕を本気で憎んでいるような、憎悪しか感じることが出来ない瞳が、網膜に焼き付けられてしまったのか一週間経った今でも目をつぶるたびに瞼の裏に出てくる。
しかしこの時は、なんか嫌な子だな、程度にしか感じていなかった。
その容姿とは別の意味で有名な彼女には、僕の話が気に食わなかったのかもしれないとか考えていたのだから、ちょっとぶん殴ってやりたい。そいつはそんなもんじゃないと、一秒間に百発ほど殴った後に説教してやりたい。
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