魔王の前で

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「あ~あ。また、壁に穴をあけやがって。 ちゃんと埋めておけよ!」 兵士の言葉に舌打ちをする鬼。 「ち!めんどくせえな」 そう言って床に、ドンっと金棒を叩きつける。 床にボコリっと穴が開くと同時に、壁の素材がモコモコと動き、原形を留めなくなってしまった子供の姿を埋めてしまう。 僕は、思わずギリっと歯を噛み締める。 良く見れば、壁の至る所に今のような後が残っている。 こんなのって・・・・・・あんまりだよ。 顔を歪める僕を見て、楽しそうに笑う兵士達。 「ははははは・・・・・・。 今頃になって、怖くなったか!魔王様の力に、怯えれば良いんだ!」 兵士の言葉に、鬼が言った。 「何だ?その人間の子供は。 この魔界に来て、まだ生きてるのか?珍しいな」 「そうだな。こいつは、人間にしては魔力が多いらしい。 魔王様の食事にして出そうかと思ってな。 その前に見たいとおっしゃるので、今から伺う所だ」 兵士の言葉に、感心した様子で頷いて僕を見つめる鬼。
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