魔王の前で

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「ほう!魔力が多い人間かあ。 なあ・・・・・・腕の一本位、貰っても良いかな?」 鬼が舌なめずりして僕を見る。 「な!何を言ってる! 無傷で連れて来いと命令されてるのだ! 手を出すなど認められないぞ!」 兵士の言葉に、不満そうに言った。 「け!つまんねえなあ。 頭でっかちの魔王に、こんな旨そうな人間を全部くれてやる事はねえだろ。 ちっこいから、食べられる部分も少なそうだしなあ。 腕の一本位貰っても、満腹にはならねえだろうが、魔力は多そうだしなあ」 そう言って、僕を見る鬼の目はギラギラとしている。 「なあ。良いだろ?」 だが、鬼と僕の間に数人の兵士が立ちはだかる。 「ダメだ!魔王様の命令には、逆らえない! 知ってるだろ!」 そう言って、兵士達は、自分達の首を示す。 そこには、小さな魔力で創られた刻印が有った。 これは、契約の印。 つけた者に、決して逆らわない印。 僕は眉を寄せる。 見れば、兵士全員についていた。
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