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「魔王様。お望みの人間を連れてまいりました」
そう言って兵士長は後ろの兵士に合図を送る。
僕を抱えていた兵士は、魔王の前に僕を降ろした。
魔王は、齧っていた肉をぺっと吐き出して、泣き叫ぶ子供を後ろの壁に放り投げる。
グシャリっと音がして、子供の身体は潰れ血と中身をまき散らして床に落ちる。
立ち上がった魔王は、ゆっくりと僕に近寄ると覗き込むようにして言った。
「思ったよりちっさいガキだな」
魔王の言葉に、僕は身体を震わせる。
過去・・・・・・カムリンの時の記憶。
抵抗出来ない僕の身体に満面の笑顔で剣を刺して、苦しんで血を流す僕を嬉しそうに笑顔で笑っていたあの姿が呼び起されたからだ。
怖い・・・・怖い・・・・・。
小さかった僕の思い。
其れが思い起こされる。
今の僕なら、簡単に倒せるのに。
動けない・・・・・・・。
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