魔王の前で

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「我が愛しき妻に手出しをしないで貰おうか」 冷たい声がして、床から蔓が生えてきて、次々に兵士達は拘束される。 「ふふふふふ・・・・・・。 もう。僕が呼ぶ前に来ちゃったの?ラヴァル」 僕の言葉に、僕の手を握り愛おしそうに笑顔で言うラヴァル。 「申し訳ありません。主。 我が愛しき妻に危害を加えようとする愚か者に鉄槌を加えなくてはならなくなりましたゆえに」 そう言って頭を下げるラヴァルに、僕は笑顔で言った。 「仕方ないね。 植物に愛され、多くの植物を自在に操り、且つ、淫魔として多くの魔人たちをも魅了して止まず、遂には、山に封印されてしまった元四天王のラヴァル」 僕が言うと嬉しそうに微笑んで頭を下げるラヴァル。 そして、僕とルミエルの後ろに立った。 「僕の父上。 ノアールに仕え、生涯の忠誠を誓い、常に沈着冷静で四天王候補に上がりながらもそれを辞退したレン」 僕の横に、レンが姿を現し微笑んで頭を下げる。 顔色を失って真っ青になってガタガタと震えだしたビビディ。 「クククク・・・・・・。 もう、逃げられぬぞ?若造」 声がして、黒い影が揺らめく。 「うふふふふ。 もう出て来たのですか? デスパイア」 僕の言葉に、黒い影ははっきりとして、真っ黒なローブを着たデスパイアになる。 瞬間。 悲鳴を上げて、兵士達は腰を抜かした。 デスパイア・・・・・有名な吸血鬼の始祖。 最早伝説と言っても過言ではない力の持ち主なのだ。
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