魔王の前で

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「時間が無い。 避難も完了したようだ。 主。飛ぶぞ?」 僕は無言で頷く。 すると、次の瞬間には僕達は皆、少し離れた丘の上に立っていた。 更に離れた場所に多くの魔人達が固まっているのが判った。 そして、次の瞬間。 まるで、地面の奥の方に大きな陥没が起きたかのように、城の中心部が沈み始めた。 そして見る間にそれは広がると一気に全部が落ち込んで行った。 そこには、大きな穴が開いていた。 次第に周囲の空気までもを吸い込み始める穴。 「リン。あの場所に創るんだ。行くぞ」 そう言って、ルシルは大きな真っ白な翼を広げて飛び上がった。 直ぐに、ノアールもビビディをぶら下げて飛び上がる。 穴の近くまで来ると、ルシルは言った。 「リン。判るな。 ゴーディの記憶を感じるんだ。 そして、魔界樹を創れ」 僕は頷いて、ルシルから離れると一人で穴の真上に立った。 下から次第に強くなる、引き摺られる力。
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