魔王の前で

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けれども、その時の僕は全く怖いとは思わなかった。 僕の奥底から、湧き出してくる力。 僕は、それを感じていた。 そしてどうすれば良いのか・・・・・何故か僕は知っていた。 何をするべきなのかを。 僕は、抑制具を全て外して、ボックスに投げ込む。 そして両手を広げると魔力を練り上げる。 僕を中心に魔力が渦巻いていく。 そして、その魔力は渦を巻きながら地面に開いた暗い場所へと吸い込まれて行く。 だが、次第にその魔力は細い真っ黒な繊維のようになっていく。 細い細い繊維が次第に絡み合い太くなって行く。 それは僕の身体から繋がり、大地へと絡んで行く。 城は既に完全に無かった。 僕の身体から繋がっている無数の繊維のようなものは、大地と穴と空中と。 無数の何も無い筈の場所にまで、固定されている。 ギリ・・・・・・・・っと無数の繊維が軋む。 僕は苦痛に額に汗を滲ませる。 その時、ルシルが突然に空中の繊維を何故か掴んでそれをビビディに巻き付けた。 僕しか動かせない筈なのに。
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