魔王の前で

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美しく幻想的で、感動するような樹だった。 「凄いな・・・・・・こんなに美しい樹は見た事がないぞ。 さすが・・・・リンだな」 感動した様子で目を輝かせて、樹を見つめるルシル。 僕は嬉しくなった。 そのまま、魔力を固定して行き、安定を図る。 安定していく魔界樹から、急に強い光が巻き起こり、それはまるで花弁のようになって、魔界中に散って行く。 魔界のありとあらゆる場所で、その花弁は目撃された。 多くの場所で、甘い優しい匂いを撒き、満たされた幸せな思いにさせた。 そして、傷を負った者は傷を癒され、飢えた者には目の前に多くの食事を、病を負った者には癒しを。 全ての者が、幸福な思いに囚われる。 その瞬間。 魔界中に大きな強い光が満ち溢れた。 そして、光が収まった時。 城があった場所には、何も無い更地が広がっており、僕はゆっくりと大地に降り立った。 他の皆も、僕のそばに駆け寄ってくる。 「リン!凄いぞ!さすがだな!」 一番に駆けつけてきたルシルは僕を抱き上げて抱きしめる。 次にノアールが僕の頭を撫でる。 「リン!良くやった!さすが、我の息子だ!」 誇らしげに嬉しそうに言うノアール。 「リン!素敵だったわ!」 カーナは満面の笑顔だ。 「我は光はあまり好きではないが、あれは綺麗だと思ったぞ」 笑顔で、瞳を子供のように輝かせるデスパイア。
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