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まず秋斗がなぜこのような状況下にいるのか説明しよう。
これは二年前の話。
秋斗が大学3年の時の話だ。秋斗は冬休みということで実家へと帰省していた。秋斗は地元に母親をひとり残し、自分だけ東京でのうのうと大学生活を送っているのが嫌でしょうがなかった。でもこれは母親の意思でもあったため
渋々承諾した秋斗であったが彼には夢があった。それは大学を卒業し無事に就職できたら母親を東京へと呼ぶそんな小さな夢だった。自分を大学まで進学させることがシングルマザーであった母親にとってどれだけ大変なことだったろう。
そんな大変な思いをしてきた母親のためにも少しでも楽をさせてあげたいそれだけが秋斗を動かす原動力だった。
「母さん!買い物に行くんだよね。僕も一緒に行くよ。」
「はいはい。」
深深と降る雪のなか笑顔で答える母親と一緒に歩いて近所のスーパーへと向かう秋斗。こんな些細なことでも数ヶ月ぶりに会った親子は幸せだった。しかしそんな束の間の幸せは一瞬で脆く崩れ去った。
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