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「アァッ、なんかすいません。私ばっかが喋っちゃいましたね。私秋山奈津っていいます!宜しくお願いしますね」
言うだけ言って、秋山は俺の手を掴んでブンブン振り回す。あぁ、なんていうかこの人あれだ。
いわゆる天然だ。女子と握手的な事したのは始めてだろうか。なんというか不思議な感覚だ。
「ほら奈津。何やっての!」
「あっ、美奈子ごめーん。今行くよ」
美奈子という名前の友達が清田の後方から現れるや、秋山の名を呼ぶ。秋山は慌てて美奈子のほうへと行こうとする。
「ん…」
足元に落ちた生徒手帳を拾い上げて、それを広げる。どうやら秋山奈津のものらしく、先程慌てて走ったか、ぶつかってこけたときに落としたのだろう。
(もういねぇや。何て言うかやかましい奴だったな。笑顔は無駄にかわいかったけど…黙ってりゃモテんだろーな)
「って何考えてんだ俺…はぁ、もう何か疲れた。午後の授業はぐっすり眠るかな」
秋山の落とした生徒手帳を、自分の学ランの右ポケットに入れて自分の教室へと帰る。
帰る途中、なんだか変な目で生徒に見られてた気はしたが、もう何言っても無駄な気がしたので無視するしかないであろう。
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