エピローグ

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九回の裏、ツーアウト一三塁。点差は僅かに一点。 カウントは既にツーストライク、ワンボール。 バックスクリーンには黄色のランプが二つ、緑色が一つ、そして赤色のランプが既に灯火されている。 あと一球。会場にいる空気が重くずっしりとのしかかる。真夏の日差しは容赦なくそこにいる物達を嫌でも暑く感じさせる。 ミットをキャッチャーが構えると、右手を股の下で合図を送る。 インコース高めの一番勢いのある直球。マウンドに立つピッチャーは無言でコクリて一回頷く。 辺りからは延々と鳴き続ける蝉のうるさい音も、風が吹き上がり特有の浜風させも、そこにいる物達には聞こえていない。 そしてその瞬間は訪れた。 腕から振り抜かれた白球は唸りを上げるかの如く、サイン通りインハイに突き刺さるように向かって行った。 パーン!!
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