αチーム÷3の色

3/6
前へ
/31ページ
次へ
「こけしは僕の御守りですから」 椅子に座って笑顔で今時珍しいこけしを磨いている、学ランを着た白髪は【灯野ケイト】。 いつもニコニコ笑っていて、どんな事にもほのぼのとした笑顔で丁寧に対応し、任務などで笑顔が消え真剣な表情になる時はあるが、一度たりとも不機嫌な面を見せない日和見主義者。 そして毎朝誰よりも早く起き、仕事の時間までは袴姿で部屋を掃除したり勝手に俺達の服を洗濯をしたりナビからのコールを受けたりなど、部屋の家事全般をしている。 部屋の家具はベッドぐらいしか私物化する事が無く、テーブルにこけしか本を置くぐらいのスペースしか使っていない。 「もしかしてさ、ケイトのすっごい魔法の力の元ってこけしなの?」 「いえいえ、こけしからは元気を貰ってもそう特殊な力はありませんよ」 デコッパチが言った通り、白髪は超能力を操る事が出来る。 地形や気温など関係無しに炎や氷を生み出し、 晴天の中でも天から雷を降らせ、 時には人間の傷を薬無しで治療する、 自然の摂理に全く捕われない超能力者。 何せ家系は昔から代々受け継がれ『参拝に立ち寄ればたちまち参拝客の傷や病が治る』という事で世界中有名な【灯野神社】を守る、超能力一家なのだ。 ネットでの情報によると、そこはよくテレビや雑誌に『奇跡の神社』として取り上げられ国内だけでなく海外からも重い病気や深い傷を負った人間が病院の医師に頼らずボロボロな体引き摺ってでも参拝に来るらしい。  白髪は超能力一家の中で次男として産まれてきた為、神社の神主を引き継ぐなどという重大な使命は無くその理由でムラクモから候補生として選ばれたのだろう。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

24人が本棚に入れています
本棚に追加