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「あの刺青いっぱいの人も強かったなー…」
『せぇいッ!!』
目の前に立つ、身体中刺青を刻まれた巨漢【ダイゴ】にアヤメは渾身のパンチを打ち込む。
ダイゴは大きな左手で小さな右手を受け止めた。
仏像の様な顔に全く変化が無い。
アヤメは攻撃を仕掛けない彼にパンチや蹴りを何度も放ち、ダイゴは全て手で受ける。
『その程度か』
巨大な体は煉瓦をも砕く怪力にビクともしなかった。
手応えがあるのに、ダメージを与えた感覚が無い。
まるで巨大な鉄の塊を殴っているかのようだ。
動き続けるアヤメのスタミナは無駄に削られるばかりだった。
「あんな人と戦うの初めてだよね」
「しかもあの様子だと僕達は完全に手加減をされていたのでしょう」
「いつもの筋トレメニューじゃ足りないのかぁー」
テーブルにもたれかかりアヤメは深いため息を吐く。
ケイトは会話と回想をまとめ、結論を言った。
「今の僕達では何度挑んでも軽く蹴散らされるのが関の山ですね」
「つまり私達にはもっと修行が必要って事だね!!そうと決れば早速都庁の周りを皆で30週走ろ――」
「アホかお前らはぁぁああああ!!!!」
アヤメが意気込んで立ち上がろうとした瞬間に、怒りを爆発させ椅子をひっくり返しネオは立ち上がって叫んだ。
黙って話を聞いていたはずの彼のいきなりの激怒にアヤメとケイトはビクッと大きく肩を震わせた。
「確かに白髪は火力不足だった。デコッパチは怪力が通じなかった。俺もサポートが間に合わなかった。そうだよ俺達は自分の力を底上げしなきゃまたSKYが邪魔に入ったら何の対処も出来ずに終わる。帝竜狩り尽くす前に俺達がアイツらに狩られる。渋谷のあの戦いは誰の止めも入らず最後までやってたら確実に俺達は実力差で負けた。だが俺達の敗因はそれだけか?もっと別の、単純で、簡単で、分かりやすい理由があるだろ」
「あ……えー?」
ネオのマシンガントークに混乱するアヤメ。
ケイトは笑顔だが多分ネオの言いたい事が分からないようだ。
ネオは2人の大体の思考を読み取ると深呼吸をして椅子を正し、乱暴に座った。
そしていつまでも出てこない単純明快な答えを言った。
「お前らは、アイツら2人をナメすぎたんだ」
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