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「ハッ……分かったろ。結局はお前が悪いんだ。今度から弁当作る時はフライパンに油じゃなくてバターを敷くんだな」
適当に聞き流していたケイトの説法に区切りが付いたと思ったネオはそう言い放つと壁のボタンを押してエレベーターを呼んだ。
「ですがアヤメさんの頭をスパナで殴るのが正しいとは限りませんよ」
「ああ?」
「暴力では何も解決しないという事です」
右手の人差し指を立てて我が子を叱る母親のように捕捉をつける。
「そうでもしねぇとこの石頭のデコッパチはモノを理解出来ねぇだろ。愛の鞭だ、愛の鞭」
面倒臭そうにケイトに言い返し、扉が開いたエレベーターに乗り込む。
「暴力が嫌なら、お前が弁当係になるか調理中ずっとデコッパチを見張ってろ」
「もぉー、ネオはそんなに私が信用出来ないの?」
「出来ねぇというより不安だ。何気に食った弁当にどっかの内臓の急所突かれてポックリ永眠なんて御免だからな」
「そんな事しないよー…。今度は気を付けるから許して……ね?」
両手を合わせてお茶目にお願いするアヤメ。
「はぁー…」
本日何度目のため息。
その回数すら考える事すら面倒で、ネオの脳内は既に『面倒』という言葉で埋め尽くされていた。
「あーもう分かった分かった。作るなら今度から材料が食えるモンかどうか確認しろよ」
こうしていつも折れるのは彼で、
「イエッス!!」
アヤメのガッツポーズである。
「さて、仲直りしたという事でエレベーターがエントランスに着きましたよ」
平和な彼らの喧嘩はエレベーターの到着と共に終わりを告げた。
「あーもう…朝ご飯食べてないからお腹ペコペコだよー」
「そういやぁーアレだったな。デコッパチが弁当と一緒に朝飯も作る予定だったっけ…」
「任務まで時間がありますし昨日作り置きしたお弁当を朝ご飯として食べましょうか」
「昨日誰が作ったっけ?」
「ああ、俺だ」
鞄から弁当箱3つを取り出して2つをネオとアヤメに手渡すケイト。
3人が椅子に座り、少し遅れた朝食が始まるのであった。
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