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 川の水を飲む少年の手は痩せ細り、傷だらけだった。  着ている服も粗末な物で、あちこち裂けて破れている。その穴から覗く体も痩せ細り、古傷と新しい傷が縦横無尽に走っているため、痛々しい。  川の水を必死に飲む少年は、車の気配に敏感に反応するのだが、警告を発する頭とは裏腹に、衰弱した体はついて行かず、逃げようとしても歩く事すらままならず、足がもつれて転んでしまう。  やがて、下流の方から車がやって来て、少年は諦めて石だらけのそこに横になってしまう。  抵抗する力は残されていないのだ。痛めつけられないように、ただ、願うだけである。  少年を発見したのか、車は停車し、運転席から骨肉逞しい男が慌てた様子で降りて来る。 「おい! 生きてるか?? おい!」  男は慌てた様子で少年の体を揺さぶる。  少年は目を開けて、反応を示すのだが、そこに喜びの感情はない。この人もどうせ、自分を置き去りにするのだろう、と思っているのだ。 「病院に行くから、頑張れよ!」  男は言うと、ガリガリに痩せた少年を軽々と抱え上げて、乗って来た車に乗せる。  キャンプにでも行こうとしていたのか、車の後部座席はキャンプ用品で埋まっており、少年は助手席に座ってシートベルトを装着させられた。  本当に、助けて、くれるの? と少年は男を見るのだが、声はとうの昔に出せなくなっており、問いかける術はなかった。
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