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ホテルに戻ると、ようやくガルクが起きて、退屈そうにテレビを眺めていた。
「おはよう」
「おはよう」
ただいま、ではなくそう声をかけると、彼は半ば反射的にそう返し、ラークがクスクスと笑っているのを見て、からかわれたのだと気づいた。
「ラークは最近機嫌良いな?」
ソファに座り、サンドイッチを行儀良く食べている彼に言うと、キョトンとした顔をして首を傾げた。
ガルクはその間抜けな顔に、小さく吹き出しながら、当然の様に彼のサンドイッチに手を伸ばして口に運ぶ。
「俺ってそんなにいつも怒ってたか?」
「いや……まあ、怒ってはいないな」
機嫌が悪いは彼の中ではイコールとして苛立っている、しかないらしく、少しずれた回答が戻って来て、ガルクは呆れてしまう。だがしかし、その少しずれた回答がなんとも彼らしい。
「落ち込んだりしてないな、って事だ」
やれやれ、とガルクは苦笑し、最後のひとかけらを口に入れる。残りの一つは流石に手を出さず、ラークは何も言わずに食べた。
「あー……まあ、良い事が続いているからなぁ。落ち込んだりはしないな」
答えながら、ミルクを取り出してストローで飲む。のんびり外を歩いたせいでぬるくなっているのだが、彼は全く気にしていない。
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