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「なんか階段低いな。」
取り敢えず昇降口から一番近い階段を昇ってみた。
一棟二階は図書室と普通教室らしい。
商業科、工業科合わせて五組しかないので直ぐに新しい自分の教室を見つけられた。
三年二組
まだ自分の机の無い教室へ入るのは気が引けた。
余所の学校、余所の教室。
夏休み後には自分の教室なのだが、今はまだ違う。
鍵は掛かっていない。
なので入ろうと思えばそれは容易いが、教室の入口に壁がある。
実際には無いのだが、確かに有る。
透明で限り無く薄い弾力性のある壁
モノや人に必ず有る薄い壁
入ろうと近付けばやんわり押し返されるだろう。
「おっ私服。」
声をした方を振り返ると制服を気怠い感じで着た背の高い男がいた。
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