終わりのから始まり

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東京から新幹線で一時間半。 祖父の家が在るこの町へ来たのはこれで四度目 初めて来た時の記憶はない。 祖父に生まれたばかりの俺を見 せに来たとき それから十年後、今度は妹が生まれたとき ……三度目は祖父の葬儀のとき それだけだった。 父は仕事が忙しく、自然と父の実家である祖父の元を訪れる機会は少なかった。 俺の中に有る存命だった頃の祖父の姿は生まれて数ヶ月の妹を見せにきた一夏だけのものだ。 祖父は寡黙で常に眉間へ皺を寄せるのが癖だった様で、子供だった俺はそんな祖父が怖く余り懐こうとしなかった。 今思えばなんと可愛げの無い孫だったろう。 しかし祖父もまた話し掛けてくる等皆無だったので懐いた所で甚 だ迷惑だったのかもしれない。
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