終わりのから始まり

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祖父との思い出は無かったが、あの夏の思い出は沢山ある。 祖父の家の近所に住んでいた同い年のタカアキ。 タカアキとは気が合い、どちらかと云えば人見知りをする俺でも直ぐに打ち解けた。 なので俺は祖父の家には殆どいずにあの夏、タカアキと一緒に遊び倒した。 夏でも冷たく澄んだ、水深がゆうに三メートルは有るであろう川や熊が住む小学校の裏山。 昼食を取りに家に帰る時間も惜しく、駅の土産物屋にあった試食で空腹を満たす何て事もざらだった。 生まれて初めて沈む夕日を恨めしいと思った。 服どころか顔も手も全身汚れていたが、多分人生で一番輝いていた夏。 東京へ帰ってからは一度も連絡をとっていないが彼奴は今どうしているんだろう?
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