仁王立ちでお出迎え (ジェラエル)

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「遅い」 何も連絡もない携帯を睨みながらエルザは呟いた。 現在21時32分 1年前に同棲を始めてから、ジェラールはどんなに忙しくても7時には帰ってくる。 それに遅くなるとわかったら「遅くなる」と一言連絡をしてくる。 今日はそれすらない。 (遅くなるなんて聞いてないぞ…) 何度も電話をしたりメールを送ったりした。 だけど何の音沙汰もない。 事故に巻き込まれたのかもしれない。 飲み会でカナ辺りに絡まれているのかもしれない。 そこで嫌な単語が彼女の頭に浮かぶ。 もしかしたら…浮気… 勿論ジェラールの事を信頼している。 浮気なんてするはずが無いと分かってても、どこか不安に思っている自分がいる。 そんな自分がいることで自己嫌悪を起こし、俯いて溜め息を吐く。 (私はこんなに人を信じれない人間だっただろうか?) 一度ミラに電話でもして話し相手になってもらおうかと思ったが、 今日はエルフマンが一年ぶりに帰ってくるのと、 電話をしている間にジェラールから連絡が入るかもと思い結局何もしなかった。 もし恋人がエルフマンだったらこんな心配しなくて済んだかもしれない。 正直で嘘なんてついてもすぐに顔や声に出るあいつなら…こんな心配しなくて済んだかもしれない。 と、そこまで考えて頭をふる。 (こんなこと考えてるようじゃ私もまだまだ駄目だな) そう思っていると突然携帯が大きい音を立てる。 この聞き慣れた着信音は… すぐさま通話ボタンを押し名前を呼ぶ。 「ジェラール!」 『…ごめん』 相手は何を言われるのかを察したのかすぐさま謝罪の言葉を述べる
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