幕開ケノ時

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「ま、精々頑張ってくれや。俺は祈ってるよ、お前ら六人の無事を、な」 そう言うと、説明者は立ち去ろうと私達に背を向けた。 しかし、動こうとしない。 「……やっぱさ」 「……?」 「俺の名前、良かったら覚えててくれな。安藤帝輝って名前」 そう言って、今度こそ私達の目の前から去った。 …覚えなくていいとか言っておきながら、やっぱり覚えてろ、なんて…本当、変なの。覚えてろって命令系で言った訳じゃないけれどね。 「なんか、不思議な人だね、帝輝さんって」 「……そうね。何か…不思議」 この先、説明者とはきっと逢わない筈なのに、安藤帝輝とはまた逢えるような、そんな気がした。 ―部屋が静まり返った時。 あの放送が、鳴り響いた。 『ガガッ…ザーッ……各狩り部隊解放組に告ぐ、ゲーム開始時間までに狩り部隊の準備を済ませておくこと。全Tabooに告ぐ、ゲーム開始5分前に放送を流す。それまで大人しくしていろ』 「……本当に、始まっちゃうんだね…ゲームが…」 朗人が不安そうに音が聴こえてきた方を見る。 そう…ゲーム開始の準備が着々と進められていく。時間は止まらない…止められない…。 「……まぁ、そのー…何だ。よろしくな、桜花…だったか?と、朗人…?」 「あ、うん。よろしく、紘汰くん」 突然、美月紘汰と卯月雅禾が一緒にこちらへ来て、挨拶らしきものをした。 「……よろしく、私は桜花でいいから」 「クールビューティみたいに感じだね。ウチも雅禾でいいから!よろしくね、二人とも」 愛想のいい雅禾と、少し不器用っぽい紘汰。この二人が、凶悪犯罪をしたとは思えない程、純粋で真っ白に思えた。  
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