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「さてと、5分前の放送が始まるまで、何して暇潰そうか?」
紘汰がそう言って、私達に話し掛けてきた。
「何してって言われても……」
「だよねぇ。みんな自分の事、覚えてないから思い出話も出来ないし……何か考えろよ馬鹿紘汰」
「俺だけ!?お前も考えろよ、雅禾!」
二人が口論しているのを見ていると、何だか和やかな気持ちになって自然と頬が緩んでくる。
「桜花ちゃん…微笑ってる」
「え?」
朗人がニコニコしながら顔を覗き込んで、私を見つめて言った。
微笑ってたんだ…確かに、頬が緩くなった気はしたけど……まさか本当に笑ってるだなんて思わなかった。
「可愛かったよ、桜花ちゃんの笑顔」
それだけ言うと、朗人はいつまでも口論をしている二人の元へ向かった。
私はと言うと―
「ぁ……え…?」
さっき言われた朗人の言葉に、戸惑っていた。
可愛い?私が―?
頭を左右に思いっきり降りながら冷静を取り戻そうとした。
けど、そんな事で顔の熱が収まる事なんて無くて―
「……気のせいに、しておこう」
顔の熱が引かないまま、三人の元へ向かった。二人に顔が赤いと指摘されるのは、言うまでもなかった。
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