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「ん………」
目が覚めると、そこはコンクリートで作られた、まるで牢屋の様な部屋だった。
鉄の柵があり、良く見ると南京錠の付いた扉もある。
「……牢屋、に…何で私が…?」
頭が、痛い。
何でだろう…何か思いだそうとすると、凄く痛い…。
何も、思い出せない―?
「……そんな」
何も思い出せないなら、何故ここに居るのか、何をしていたのかすら解らないじゃない…。
「っ、出して!!ここから、ここから出してよ!!」
柵にしがみつき、叫ぶが、返事は全くない。力無く座り込んだ時、後ろに気配を感じた。気配が、どんどん近付いて来る為か、恐怖を感じ、動けなくなってしまった。
「君も、ここに閉じ込められたの…?」
「え…?」
振り向くと、自分と同じくらいの少年が、そこに立って居た。この部屋が暗かった所為で人が居るのに気付かなかったのだろう。
良く見ると他にも同い年くらいの少年少女が倒れている。
「……みんな、ここに連れて来られたみたいなんだ。多分、僕も…」
「……そう、なの。…貴方、名前は?」
レツアキト
「僕?僕は、烈朗人って言うんだ、朗人でいいよ」
そう言って、にこりと笑う少年―朗人に、安心感を覚えたと同時に、胡散臭さも感じた。
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