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「…よろしくね、朗人くん、桜花ちゃん」
気弱そうな顔で私達にそう言うと、そそくさと自分が座って居た場所に戻る。
恥ずかしかったのか、怖かったのか。
まぁそんな事はどうでもいいか。
「おー、そうそう。そうやってよろしくしておくと、いいぞ」
ははは、と笑い混じりに説明者は言った。何で他人なんかと。
そうは思ったが、私は既に他人である朗人と、仲良く…しているかは分からないが、後から目が覚めた者よりは仲はいいのだろう。
ウヅキマサカ ミヅキコウタ
「さて、№3卯月雅禾、№4美月紘汰…っと」
「「何で二人同時なんだよ!!」」
一気に二人の名前が言われた時、後ろから同時に声が上がった。
「ああ、えっと、別に文句はない。ただ、その…ね?みんな一人ずつ呼ばれてた訳でさ…」
「俺らだけ?ってなった訳よ…」
慌てて説明する卯月雅禾と美月紘汰。
説明を終えた二人の次の言葉に、私は驚愕する。
「しっかし…何であんたと一緒な訳?…本当、あり得ない」
「うるせぇ。俺だってお前と一緒に居たくて居た訳じゃねぇし…第一、幼なじみだろ?俺ら」
"幼なじみ"?
忘れている筈の記憶が、ある―?
「……どういう事なの」
独りでに呟いた言葉に答えるかの様に、説明者は言った。
「それはゲーム説明までのお楽しみ」
最後の一人の名を呼んだ後、説明をするのだろう。
そして、卯月雅禾と、美月紘汰がお互いを覚えている事にも。
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