命は儚く脆い

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俺の親父は医者だ。大きい有名?な病院に務めている。しかし今人でが足りないらしい。そのせいもあり、毎日のように多勢の患者が押しかけてきて、親父は息つく暇もなく働いているのだ。 だから、なかなか家に帰って来れない。帰ってきても、夜中に帰宅して3・4時間寝たかと思うと、すぐ病院に行ってしまう。俺が朝起きてテーブルに何か乗っている時は、夜中に帰って来ていたという証拠だ。 そんな生活の中で唯一話し相手だったのは、母さんだった。母はいつもオレンジ色のエプロンをしていた。結婚した時に、親父が母さんにプレゼントしたらしい。 しかし、母さんは癌を患っていた。けれど親父はなかなか帰って来れないし、母さんの事だから、俺が1人になってしまうと心配したのだろう。はたまた、もう末期だと分かっていたのかもしれない。
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