マナエルの里

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  「イバン様、申し上げたき事がごさいます。」 手綱を引き、ケケテテを止めたイバンに、獣の皮で作られた上着を着た、背中に弓矢を背負った髭面の男が話し掛ける。 男の後ろには、見た事もない、異国の服に身を包んだ若い男女。 少女は少年の腕を掴み、少年の後ろに、体半分隠れている。 「狩人。いいぞ、話しなさい。」 ケケテテの背中を撫でながら、マナエル イバンは男の言葉に耳をかたむけた。 「ありがとうございます。私は、四の国との境、モザレーの山々で、狩りをして日々暮らしておる狩人でございます。昨日の晩、ここに居ります異形の者共が、我が庵(イオ)に突然現れました。何やら他領の回し者の様でございましたので、イバン様の城に連れて行く途中でございます。」 狩人の話のを聞きながら、異形と呼ばれた少年はその視線をイバンから外さない。 小領主 マナエル イバンは、その視線を感じつつも、意識して少年を見なかった。 「なるほど、お前の言う通りなら、私が処分しよう。取っておけ。」 イバンは、なめし革でできた上着の合わせの内側から、小さい布袋を取り出し、片膝をついている髭面の男に放り投げた。 狩人の目的が、マナエル家の領土の安寧にあるのか、それともその布袋に有るのかは、詮索しない。 知りたいのは、射ぬくように自分を見つめる、異国の少年の目に秘められた、力の理由である。  
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