🍀あと一歩 春編

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「………好きだよ、…俺は、春の事が好きだ」 いつの間にか、痛い位抱き締められていた腕は緩んでいて… あれだけ顔を見るなと言っていた悟くんの顔をみつめていた。 顔を真っ赤に染めて、期待と、不安と入り混じった複雑な顔をしてる… 普段から下がっている眉をさらに下げて…、俺の言葉を待っている。 何も言わない俺に、悟くんは視線を泳がせた… 何か言わないといけない、今の気持ちを伝えなきゃいけない… そう思うのに、口が動いてくれない… のどが、からからで声が出ない… 「春……」 もう一度優しい声で名前を呼ばれて、温かくて綺麗な手で頬を包まれた。 近距離で見る悟くんの顔は、うっとりする位綺麗で…可愛い。 「春…、好きだよ…」 何度強請った言葉だろう… ――悟くん、俺の事すき? ―――悟くん、好きって言って! 俺が強請るたびに、悟君は優しく笑ってくれたんだ。 ―――好きだよ、春くん。 嬉しかった、でも寂しかった… 「ほ、んと?…おと、とじゃ…ない?」 頬を包む悟くんの手に、自分の手を重ねる。 我慢してたのに、必死に我慢してたのに…堪らず涙が溢れ出た… 頬に涙が流れるたびに、悟くんは優しく拭ってくれた。 「弟の春くんが好き、でも…俺の事が好き過ぎてボロボロ泣いちゃう春も好き」 ―――気付くの遅れて、ごめんね? 悟くんは、俺の目をまっすぐに見て、照れ臭そうにいったんだ。 _
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