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春は、心から俺を愛してる。
春は、俺からの愛を求めてる。
叶わない恋だと諦めずに、勇気を出した春を俺は…
「春ちゃんは、兄ちゃんが居ないと死んじゃうの」
春は弱い。
春は俺が守ってきた。
春は俺にとって…
「兄ちゃんにとって、春ちゃんは…ただの弟?」
美咲は、俺に語りかけながら目に涙を溜めていた。
本当に泣き虫なんだから、って…目許を拭ってやった。
同じ泣き顔なのに…、寂しそうな泣き顔なのに…春の時のように胸にズキズキした痛みは訪れなかった。
程なくして、玄関の開く音が聞こえた。
美咲は、弾かれた様に顔を上げて"カズが帰ってきた!"と嬉しそうに部屋を出て行った。
今までの泣き顔が嘘だったんじゃないかと思うほどの、満面の笑みで。
好きな人を思うと、あんな笑顔が浮かぶのかな?
春も、俺の知らない所であんな笑みを浮かべているのかな…
そう考えたら、胸がドキドキした。
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