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「春くん、何か悩み事?」
2人一緒にベッドに入ると、悟くんの優しい香りに胸のモヤモヤも晴れる気がする。
俺の見合いの話は、あっという間に局内に広まって好奇な目に晒されている。
『お見合いするんだって?』
『…はぁ』
『良いなぁ…噂じゃ良い所の一人娘って言うじゃん』
そんな話は初めて聞いてたし、正直どうでも良い。
皆同じような事を聞いてきては、俺の乗り気じゃない態度に不満を漏らす。
"もっと反応しろよ!"
"逆玉だぞ!?"
"上司命令頑張れ!!"
人事だからと、面白おかしく騒ぎ立てて…だったら貴方達が受ければいいのに…。
上司も上司で、俺が乗り気じゃないのは分かっているだろうに…
延々相手の女性について語ってくるものだから、正直面倒くさくてしょうがない…。
申し訳ないけど、俺はその人と結婚する気はさらさら無いんです。
「…何でも無いよ、最近ロケが多くてさ」
「じゃあ…今日はやめとく?」
悟くんには、言わないって決めたんだから愚痴なんて言えるわけない。
実際にロケ取材が続いているのは本当だし、だからこそ…心身ともに癒して欲しいのに。
「やだ…俺、悟くん不足なの」
「ばーか…」
ちゅって触れるだけのキスを貰って、もっと!って強請る様に悟くんの首に腕を回して引き寄せた。
俺が好きなのは悟くんだけ。
悟くん以外に、心奪われるなんて有り得ない。
お見合いなんて、席に着く前に断ってやる…。
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