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「で、遂に明日だけど作戦は?」
「……ありません」
時間は待ってはくれず、あれよあれよと進んでしまった。
見合いを明日に控えた晩の事、俺達は美咲の部屋で最後の作戦会議。
美咲は、何も策が無いと言った俺に"馬鹿じゃないの!?"と怒りながら頭を叩いてきた。
御尤もだが…暴力はいけない!とお兄ちゃんは思うんだ…。
「相手が超押せ押せの人だったらどうするの?」
想像して、相手に流されて何も言えなくなっている自分が容易に想像できて冷や汗が浮く。
「や…やばい…」
「本当に危機感持ってるの?」
深い溜息に申し訳なくなって、俯いてしまう。
しょうがないじゃないか…見合いは嫌だ!断るって決めた!だけど、…だけど…
「春ちゃん、相手の人の心配は要らないんだよ」
「え…?」
両手で痛いくらいに頬を摘まれて、真剣な目で射抜かれた。
「中途半端が一番駄目だよ。悟兄ぃにも、相手にも失礼」
"駄目なら駄目って言いなさい!!"って、真っ直ぐに目を見られて言われたら頷くしかない。
いや、決心するしかないじゃないか…
心の片隅で、断って相手を傷つけてしまうんじゃないかって気にしてた…
だけど、俺が好きなのは…一生を誓えるのは一人しか居ないんだから…悩んでも、仕方ない。
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