🎵wheel of fortune

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何時もより、少し高いスーツを着て何時も通り悟くんが寝ている間に家を出た。 何も変わらない…同じように仕事をこなして、時間を確認して待ち合わせの場所に向かった。 指定された店は、テレビや雑誌でもよく紹介されるフレンチレストラン。 席に向かうと、相手の女性は既に座っていて…遅いと上司に怒られた。 別に良い、寧ろ怒って俺の印象を悪くしてくれたら良いとすら思った。 「…遅くなってすみません」 俯いたまま、俺の方を見ようとしない彼女は怒っているのだろうか…。 「…いえ…」 黒髪を短くそろえピンと伸びた背筋、短く応えた声は落ち着いていて少しだけユリの香りがした。 ゆっくりと顔を上げる彼女から、目が離せない。 妙に胸がドキドキして、自分でも可笑しい…と感じていた。 「………さと、る…くん」 「……え?」 「馬鹿!!ナルミリョウさんだ!!よりによって男と間違える奴があるか!!」 上司に頭を押さえ込まれ頭を下げながら、俺は頭の中でぐるぐるぐるぐる考える… 目の前に居るのは、写真とは違う…違う… 「…大丈夫です。気になさらないで下さい」 「…す、すみません」 上司の平謝りを聞きながら頭を上げて、微笑む彼女を見て胸がドキリとした。 声は少し高いけど、目元や口元…雰囲気が悟くんを思わせた。 写真とは全然違うじゃないか… 黒いスーツを身にまとって、少し伏せ眼がちの瞳がとても美しい… _
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