800人が本棚に入れています
本棚に追加
/255ページ
彼女は、彼の手を引いて店を出て行った。
"ほら、しっかりして下さい…かつひろさん"
微かに聞こえる叱咤する声に、思わず笑ってしまった。
上司にどう報告しようが考えながら、俺も後を追って店を出る。
外はすっかり暗くなって、まん丸の月が暗闇に浮かんでいた…
「…んー…」
思い切り背伸びをして、冷たい空気を取り込めばどこか気持ちはスッキリした。
早く帰って美咲に報告しよう。
結婚相手の変わりに、素敵な友人が出来ました…って。
そして、悟くんに早く会いたい…そう思って、足を一歩動かした。
本当は少し、羨ましかったんだ。
もし、悟くんに知らせていたら彼も迎えに来てくれたかな…
見合いの席から俺を連れ出してくれたのかな…
考えては有り得ない…と、思いをかき消した。
_
最初のコメントを投稿しよう!