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2人で手を繋いで、ゆっくりゆっくり歩いて帰る。
お互い何も話さないまま、寒い空の下沈黙がとても寂しい…。
「…どうして、あそこに居たの?」
「吐かせた…」
沈黙に耐えられなくて、疑問を投げかければ短くぶっきら棒な答えが返ってきた。
「…吐かせたって…美咲?」
「しか居ないだろ…こそこそしやがって」
ブスっと唇を尖らせて、怒っている様な拗ねている様な悟くん。
「黙っててごめんね…断る、つもりだったから」
心配させたくなくて…そう続けて、視線と地面に落とした…
「だとしても、教えて欲しかった…」
「そうだね、俺も…言えば良かったって後悔してた」
一歩前で出て、悟くんとの距離を縮めて腕にそっと抱きついた。
本当に…迎えに来てくれたら、連れ去ってくれたら、そう思ったから。
彼女と自分を重ね合わせて、胸がズキりと痛んだんだ…。
彼の手を引く彼女の微笑が、それはそれは幸せそうだったから…
「…結婚、してぇの?」
「…言ったでしょ、俺には貴方だけなの…傍に居るだけで良い」
「……そ」
肩に額を摺り寄せて、どこか胸に寂しさを抱えたまま俺達は家路を歩いた。
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