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一歩外に出れば、辺りは赤と緑のイルミネーションに彩られていて嫌でもクリスマスを思い出させた。
だけど、我が家では毎年12月24日は弟の誕生日だった。
25日は友人達とのパーティだったり、仕事だったり…
だから、俺にとって恋人と一緒に過ごせるクリスマスは26日だったりする。
イルミネーションも装飾も少なくなって、少し寂しさ感じる街を2人で歩くんだ。
この日ばかりは誰にも邪魔されたくなくて、弟達にも何処に行くかは告げていない。
次の番組改定で日替わりキャスターから、レギュラーになる事が決まった。
こうやって、26日に休みが貰える可能性はきっと減るよね。
だから、今年は今までよりずっと良い思い出を作りたいんだ。
「悟くん…寒くない?」
「……んっ」
口元まですっぽりとマフラーで覆って、鼻先を赤くしながら笑う悟くんは何時もよりずっと可愛く見えた。
昨日は沢山のカップルが歩いていたのに、今日は何処にも見当たらない。
俺は、人がまばらなのをいい事にそっと悟くんの手を握ったんだ。
「…良いの?見られるよ」
「…今日くらい良いじゃない。クリスマスだよ?」
"昨日だけどな"って、困ったように笑うから"俺にとっては今日だよ"って、繋いだ手に力を込めた。
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