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モノ心ついた頃には、実の兄に恋してました。
初恋は実らない。
そんな事を女子が言っていたから、俺は絶対恋じゃ無いって…自分に言い聞かせてた。
兄への気持ちは、兄弟愛で、ただ仲が良すぎるだけなんだって…。
"かずくん…"
でも、名前を呼ばれる度に胸は苦しくて…
見つめられる度に、泣きそうになった…
"泣かないの、男の子だろ?"
抱き締める腕は優しくて、温かくて…
自分の気持ちを否定する事なんて俺には出来ませんでした。
兄が高校を卒業するその日、俺は決めたんだ。
兄を兄と思うのはやめようって…
そう思ったら、気持ちが楽になった。
卒業式を終えて、胸にリボンを付け誇らしげな兄。
"あ…かず、見て見て!!"
"……みさき!"
上の兄や弟が目を丸くする。
初めて、兄を…名前で呼んだから。
"…かず?"
"……美咲、俺美咲が好きだよ!!だから…"
貴方の第二ボタンを僕に下さい。
真っ赤に染まる美咲の顔。
真っ青な春ちゃんと隼くん。
ふわふわ笑う、兄ちゃん。
好きで、好きで、…大好きだから…
震える手でもぎ取られた第二ボタンは、俺の宝物。
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