🎵君の初恋

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春ちゃんのお誕生日を過ぎて暫く。 「俺たち、付き合ってるから」 春ちゃんの手を握って、俺達にそう告げた兄ちゃんの顔はとても優しかった。 あまりにも突然で吃驚したけど、俺は春ちゃんが悩んで居る事を知っていたし… 泣いているのを何度も慰めてきた。 だから、春ちゃんが幸せそうに笑っているのが凄く嬉しかった。 「春ちゃん、良かったね!!」 嬉しくて嬉しくて、ギュって抱きついて泣いちゃった。 何でお前が泣くんだよ、って笑いながら頭を撫でて貰って胸がほっこり。 隼も、始めは吃驚していたけど兄ちゃん達が幸せなら…って笑ってた。 春ちゃんの誕生日前日、死んだお魚みたいに濁った目をしてた悟兄ぃを見ていたから… 無事に結ばれて…俺も幸せ。 だけど… "何で…" 温かい笑い声の中で微かに聞こえた呟き… 視線を向ければ、苦しそうに顔を歪めた一也が兄ちゃん達を見つめてた。 「かず…?」 思わず声を掛ければ、濡れた瞳と目が合った。 どうしてそんなに悲しそうなのか、俺にはわからない。 「み、さきちゃ…」 震える声… 一也は一瞬俺を見ただけで、部屋に走って行ってしまった。 _
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