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久々の学校は意外と退屈だ…。
勉強は春くんが教えてくれるし、友達だって学校で作らなくても沢山居る。
今日の夕飯はなんだろう…、何て事の方が俺には大切だ。
「ねぇ舞峨くん…」
女子達の猫なで声も不愉快だし…
「なぁ舞峨!」
男子達の下心ありありの声もムカムカする。
芸能界に入って良いことは、普通に生きていたら知り得なかった世界を知れた事。
悪いことは、心休まる場所が減ったこと。
「隼くん、帰りましょー」
放課後まで、ぼんやりと過ごしていた俺の耳に聞こえた少し高い、兄の声。
ぶかぶかのカーディガンを着て、ひらひら手を振る姿は実の兄ながら可愛いと思う。
「何だよその格好…美咲ちゃんの?」
「んふふ…そう!貰ったんです」
嬉しそうに袖を口に当ててはにかむ姿に、残っていたクラスメイトが小さく悲鳴を上げた。
今年の春、ずっと片思いしていた相手と結ばれた兄は、幸せ絶頂なんだ。
相手が相手だから、俺としては勘弁して欲しい所だけど…
本人達が幸せなら、俺はどうこう言うつもりは全然無い。
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