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昔、長男に相談したら爆笑されたけど、今でもたまに…感じるよ。
俺達…いや、俺は本当の兄弟じゃないんじゃないかって。
長男と三男は父さんに、次男と兄は母さんにそれぞれ似ているんだ…
でも、俺はどちらにも似ていない…。
毛色が違うんだって、言われたっけ…。
「隼くん…?」
心配そうに俺を見る兄の目は少し潤んで見える。
「大丈夫、何でもないよ…」
腕を抱き締める兄の手をとって、指先を絡めて強く握る。
情けない顔をしてるって分るから、見られない様に先を歩く。
家に帰れば、三男がキッチンに立っていた。
「美咲!」
有る筈の無い尻尾を振りながら、一目散に駆け寄っていく兄に苦笑い。
「お帰り、二人とも」
何時も変わらない優しい笑顔にホッとする。
何故居るのかと、嬉しくて仕方ないって顔しながら質問責めにする姿は、俺達しか見られない姿だろう。
手馴れた様子で、宥めてキッチンから兄を追い出す様子を、俺は他人のように眺めてた。
「…隼、何か元気ないね?」
おいでおいでって、俺を手招いて…兄にしたように頭を撫でる。
優しくて、暖かい手…
ギスギスした気持ちが安らいだ気がした。
「何でもないよ…」
俺の悩みを聞いてほしい…
でも、俺は素直じゃないからこんなくだらない悩みを誰かに話す事なんて出来やしないんだ。
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