🍀SaltySweet

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春は赤いマグカップを片手に、難しそうな本を読んでいて全然こっちを向いてくれる様子はない。 一也も俺に抱き締められる事になれたのか、何も言わずにゲームを始めた。 隼は何処に行ったかな…、何か落ち着かない。 心の中で溜息を付いて、残りの珈琲を一気に飲み干そうとマグカップを傾ければそこに何か… 「……あっ!!」 俺がいきなり大声を発したから 皆吃驚してる。 春は目を丸くして、一也は耳を押さえてる。 「煩いよオジサン!!」 「………っ」 マグカップを持つ手がプルプル震えて、俺は素早く一也を下ろすと春に駈け寄った。 「春、春…俺嬉しい!!」 マグカップの取っ手を掴んだまま、春の両手をぎゅっとしてソファに座る春を見つめたの。 「……何の話?」 フイって視線を逸らせて、素っ気無い態度。 その態度が間違いじゃないんだって、裏付けてるってきっと気付いていない。 「春…お返しは何が良い?何でも言って!」 俺は堪らなくて、マグカップをテーブルに置くと春に思い切り抱きついた。 顔を真っ赤にして、わたわたする春が可愛くて仕方ない… 意味が分からないって、首を傾げる一也が俺のマグカップを覗き込む。 「へぇ…春ちゃんやるー」 「煩いよ!!」 俺が喜んだ理由が分かったみたいで意地悪いニヤニヤした笑みを浮かべた。 春は何とか俺を引き離そうとするけど、離して何てやらない。 「春…春、本当に有難う!」 「…そんな、お礼言われることしてないよ…」 「でも、俺が嬉しかったんだから良いの!」 「っ……ごめんね、欲しがってるなんて思わなくて…」 「んーん…、全然!」 自分でも現金な奴だって思うけど、本当に嬉しくて嬉しくて。 一気にテンション上がっちゃった!! だってさ… _
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