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「みさきー」
本日何度目か分らない、弟の呼び声に少々げんなりしながらも、
今日は俺しか居ないんだからって重い腰を上げるんです。
"かず&じゅん"何て、可愛らしいプレートの掛かった部屋に入れば、年忌の入った二段ベッド。
声の主は、レモン色の毛布を被った我が家の四男坊。
「今度はなに?」
「りんご食いたいから、剥いて来て?」
「…お前、さっきいらないって言ったじゃん!!」
日焼けしていない普段は真っ白な頬を赤く染めて、何照れてるの?何てボケも通用しない。
そう、コイツは本日…風邪、と言う病気に侵されているのです。
「今食いたくなったんだもん」
さっきから、些細な事で呼びつけては嬉しそうに笑うコイツは、多分心細いんだと思う。
素直に、傍に居てって言えばいいのにね?
「はいはい…ちょっと待っててね」
本当なら、俺も風邪を引きやすい体質だから…何時もは看病させてもらえない。
でも、今日は春ちゃんも悟兄ぃも外せない授業が有るとかで…
何時も指を咥えて見てる事しか出来なかったから、役に立てて少し嬉しかったり。
勿論、風邪なんか引かないのが一番なんだよ?
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