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=一也=
春ちゃんに世話してもらって、一人で居た時より大分楽になった。
痛くて眠れないって事も無かったし、朝起きてみれば身体の気だるさも和らいでる。
普段ヘタレだっつっても、やっぱり兄貴なんだぁ…
「…かず?」
枕元に置かれた水を飲んで居れば、控えめに開かれた扉から美咲が顔を出した。
その顔は、不貞腐れているような拗ねているような…
「美咲…?どうしたの、そんな遠くから…」
「…昨日、部屋来なかったから…俺、何かしたのかなって…」
そうだった、後で行くって言ったんだった…今の今まで忘れてた。
後ろから何時の間に帰宅したのか、隼くんも顔を出して、俺の顔を見るなり眉を顰める。
「かず、お前風邪引いてんだろ?」
「え…そうなの!?」
さすが隼くん、一瞬見ただけで見破るなんて…
聞くや否や美咲が動いて2人して、顔中ペタペタペタペタ…
「だぁぁ触んな!!」
「一也超熱い!!馬鹿じゃないの、昨日から変だと思ったんだよね!!」
「マジで?薬は?お前の事だから飲んでねぇんだろ、馬鹿!」
「馬鹿馬鹿言うな、バカ!」
あまりにも2人が俺をもみくちゃにするから、勢い余って身体を起こせば案の定、腰が響く。
堪らず顔を歪めちゃって、驚く二人に罰が悪くて…
「何、お前ケガもしてんの?」
「本当おバカ!お兄ちゃんに見せなさい!!」
きゃんきゃん吼える2人にうんざりし乍も、心配してくれるのが実は嬉しくて…
「ほら、ぬげー!!」
「キャー!!隼くん助けて!!」
ただ、風邪引いてる奴の服を容赦なくひん剥くこのバカ兄だけは何とかして下さい!!
「平和だねぇ…」
「ふふ、ねぇ…一緒にご飯作ろう?」
ついでに、他人事みたいにイチャつくあの馬鹿夫婦も何とかして下さい!!
あぁ、もう頭に血が上っちゃった!!
弱ってる時くらい、大人しく寝かせて!!
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