💡熱を吹き飛ばせ!

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コイツは何の意地なのか、決して体調が悪い事を自分から言わない。 だから、俺や一也が体調をしっかり見極めなきゃいけない…。 「とにかく、今日は仕事休め!良いな!」 「嫌だ!!今日は大切な日なんだもん、絶対に行く!!」 玄関への廊下を遮る俺の肩を強引に押しのけて、玄関へと走る美咲にプチっと堪忍袋の緒が切れた。 「美咲!お前いい加減にしろ!!」 走る背中に怒鳴れば、ビクって肩が跳ねたのが分かった。 自分でも、まだこんな怒鳴り声が出せるのかと吃驚だ… 「…ちゃ、に…る、も…か」 「……え?」 「春ちゃんになんて、分かるもんか!!」 震える声が微かに聞こえたと思えば、振り返った、目に涙をいっぱいに溜めた美咲に睨まれた。 怒鳴ったせいで、苦しそうに咳き込むから… 慌てて駆け寄ったのを、力いっぱい振り払われる。 「春ちゃんなんて、大っ嫌い!!」 叫ばれた瞬間、頬に激しい痛みが走った。 ソレが、美咲に殴られたのだと分かった時には既に、彼の姿はなくて… ジンジン痛む、赤くなった頬を押さえる俺だけが、玄関に佇んでいた。 _
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