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「ケホ…」
お昼ご飯は咽を通らなくて、でも咽は凄く乾くから沢山沢山水を飲んだ。
冷たいペットボトルを頬っぺたに当てると、凄く気持ちよくて一瞬意識が飛びそうになる。
空腹に無理矢理薬を流し込んで、もう少し…もう少し…
「MISAKIさん、顔色悪くないですか?」
椅子に座っているだけなのに冷や汗が流れて、呼吸をする度にヒューヒュー喉が鳴った。
スタジオの端で、館山が電話をしているのが見えたけど…気にする余裕なんて無い。
「…大丈夫です!」
俺に出来る満面の笑みを浮べて、アンケートにペンを走らせた。
"本日の撮影は終了デース"
カメラマンさんの陽気な声がスタジオに響いて、胸の重い感じがスッと抜けた。
やっと一日が終ったんだって、ホッとしたら目の前が歪み始めた。
走り寄って来た人の顔も分らない位、視界がぐにゃぐにゃ…
「美咲!おい、しっかりせぇ!!」
誰かに支えて貰っているんだって事は分かるのに、ソレだ誰かが分らない。
ねぇ春ちゃん、俺…頑張ったよ。
きっと春ちゃんも喜んでくれるから…。
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