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館山から連絡が来たときは、心臓が止まるかと思った。
嫌な予感ほど当たるんだ。
いや、今回はこうなる事が簡単に予想できたじゃないか…
悟くんと一緒に、指定された病院に駆け込めばベッドに横たわる美咲の姿。
真っ赤な顔、荒い呼吸…朝より具合が悪い事なんて明らかだ。
「…ンの馬鹿…」
眠る美咲の髪を撫で梳いて、頬に触れれば火傷しそうなくらい熱い。
腕に繋がれた点滴が痛々しくて、昔を思い出して泣けてきた。
「春…、先生の話し聞いてきたよ」
涙でぼやけた視界に映る悟くんは、呆れた様に肩を竦めてた…
「情けない顔すんなって、美咲は大丈夫だよ」
泣かないの…って、俺の頭を抱き寄せて…優しい声に堪えていた涙が流れ落ちた。
美咲が倒れると不安になる…
兄弟の誰が病気になったって、不安にはなるけど…美咲は特別なんだ。
母さんが倒れた時みたいに…、二度も戻ってこない…
目覚めないんじゃないかって。
…そんな事言ったら、縁起でもない!って…みんなに怒鳴られるってわかってるんだけどね。
「肺炎なりかけてたって…」
「大丈夫じゃないじゃない!!」
何ケロっとした顔で言ってるのさ!!
この人は本当に…わざとなのか、本気なのか…肺炎なんて、一歩間違ったら…
考えたくも無い!
「もう直ぐ薬も利いてくるはずだから…、もう少し落ち着きなさい」
1つしか違わないのに、普段は俺の方が兄だと間違われるくらいなのに…
何でこういう時に限って冷静で、兄貴の顔をするのさ…
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